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【最新科学】低酸素トレーニングが高齢者の持久力を劇的に向上させることを発見!

【最新科学】低酸素トレーニングが高齢者の持久力を劇的に向上させることを発見!

加齢による体力低下は多くの人が直面する課題です。
しかし、2025年8月5日に権威ある科学雑誌『Scientific Reports』に掲載された画期的な研究が、この課題に対する新たな光を当てています。この研究によると、「常圧下での間欠的な低酸素トレーニング」が、高齢男性の持久力を通常よりも大幅に向上させることが科学的に証明されました。今回は、この注目すべき論文の詳細をご紹介します。

研究の目的:トレーニング効果を最大化する新手法の検証

この研究の主な目的は、加齢に伴い低下する持久力の指標「最大酸素摂取量(VO2max)」を、より効率的に改善する方法を見つけることでした。研究チームは、通常の持久力トレーニングに「低酸素環境」という付加要素を加えることで、高齢者の身体にさらなる適応を引き出せるのではないか、という仮説を立てて検証を行いました。

研究方法の詳細

この研究は、科学的信頼性の高い方法で実施されました。

対象者

  • 65歳から83歳の健康な高齢男性 23名が参加しました。

グループ分け

参加者はランダムに2つのグループに分けられました。

  • IHT群(低酸素トレーニング): 11名
    酸素濃度を13.5%(標高約3500mに相当)に設定した常圧の低酸素室でトレーニングを実施。
  • NOR群(通常トレーニング): 12名
    通常の酸素濃度(20.9%)の環境で、IHT群と全く同じ内容のトレーニングを実施。

トレーニング内容

  • 週3回、合計8週間にわたり、高強度インターバルトレーニング(HIIT)を含む自転車トレーニングを行いました。両グループの運動内容は同一です。

評価項目

トレーニング期間の前後で、以下の持久力に関する重要な指標が測定・比較されました。

  • 最大酸素摂取量 (VO2max): 全身の持久力を示す重要な指標。
  • 総ヘモグロビン量 (tHb-mass): 体中に酸素を運ぶ赤血球の能力を示す指標。
  • ワットピーク (Wpeak): 自転車を漕ぐ際の最大パワー。
  • 乳酸閾値に関連するパワー: 長時間運動を続けられる能力の指標。

衝撃の研究結果:低酸素トレーニングの驚くべき追加効果

8週間のトレーニング後、両グループともに持久力が向上しましたが、グループ間には明確な差が生まれました。

低酸素トレーニング群に見られた圧倒的な改善率

特に注目すべきは、主要な2つの指標における改善率です。

  • 最大酸素摂取量 (VO2max)の向上率
    通常トレーニング群 (NOR群) が平均 8.6% の向上だったのに対し、
    低酸素トレーニング群 (IHT群) は平均 15.2% と、ほぼ2倍の向上を示しました。
  • 総ヘモグロビン量 (tHb-mass)の変化
    通常トレーニング群 (NOR群) では有意な変化は見られませんでした。
    しかし、低酸素トレーニング群 (IHT群) では平均で 4.4%増加 しました。

この結果は、低酸素環境が身体の適応を促し、血液の酸素運搬能力そのものを高めたことを示唆しています。

結論:高齢者の健康寿命を延ばす、安全で効率的な新戦略

この研究は、「高齢男性において、通常の持久力トレーニングに常圧間欠的低酸素を組み合わせることで、トレーニング効果を大幅に高めることができる」と結論付けています。

これは、安全に管理された低酸素環境を利用することが、加齢による体力低下を効果的に防ぎ、心血管系の健康を増進させるための、より効率的な新しいトレーニング方法となり得ることを科学的に示したものです。低酸素トレーニングが、多くの高齢者アスリートの効率的トレーニングツールになるのと、健康寿命を延ばすための新たな方法となります。
当然、それより若い年齢にも同様な効果が期待できますので、アスリートの皆さんは是非、取り入れてみてください。

引用元論文情報

論文タイトル: Normobaric intermittent hypoxia enhances adaptations to endurance training in elderly men
掲載誌: Scientific Reports (volume 15, Article number: 14797)
発表日: 2025年8月5日
著者: Mathias L. Heiestad, Sondre B. Næss, Simen E. Rognmo, Thomas Freberg, Øystein R. Støren, Eivind Wang & Øyvind Støren
DOI: 10.1038/s41598-025-14797-0
論文リンク: https://www.nature.com/articles/s41598-025-14797-0