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左手首骨折の復活劇!西日本チャレンジサイクルロードレース3位までの道のり その2

折れた骨からの復活劇!西日本チャレンジサイクルロードレース3位までの道のり

その2

③ 退院、トレーニング再開 - 焦らず、着実に

1月24日、ついに退院の日を迎えました。

「3月3日までは、骨折箇所に大きな荷重や衝撃を与えないように」

担当医からの指示です。退院後、すぐに院内のリハビリ施設にあるバイクを軽く回してみました。しかし、想像以上に体力が落ちていました。L2の強度でも息が上がり、フラフラするほどです。

寝ている時間が長かったせいか、立っているだけでめまいがします。病室に戻ってからは、できるだけ座ったり、立ったりしてリハビリを行い、病院の階段を昇り降りしたり、軽い筋トレを行いました。

1月27日、退院から3日後よりトレーニングを再開しました。

今回、私が中心に行ったのは、低酸素トレーニングです。怪我と手術によって著しく低下した体力を、短期間で回復させるためには、低酸素トレーニングが最適だと考えました。

(※低酸素トレーニングについて:低酸素トレーニングは、酸素濃度を低くした環境で運動を行うことで、身体が酸素を効率的に利用する能力を高めるトレーニング法です。持久力向上や高地順応効果などが期待できます。)

しかし、現実は厳しく、常酸素下ですら130wで40分漕ぐのがやっと。西日本チャレンジサイクルロードレースまで、あと40日しかありません。一体どこまで戻せるのか、不安が募りました。

トレーニングを行う上で、最も重要なのは体力と回復力のバランスです。トレーニング量や強度が高ければ効果は高まりますが、回復力以上の負荷をかけ続ければ、逆に身体は弱ってしまいます。

身体は負荷に対応するために、自身を作り変えようとしますが、負荷が高すぎると回復が追い付かず、パフォーマンス向上どころか、怪我のリスクを高めてしまうのです。

トレーニングメニューを組み立てる順序や内容も重要です。年齢、性別、トレーニング歴、レベル、特性によって、最適なメニューは異なります。「これさえやれば誰でも強くなれる」という魔法のようなトレーニングメニューは存在しません。

更に今回は骨折しているので、身体は骨折の治癒を優先的に行うはずですから、身体強化にあてられる割合は少ないと考えられます。

今回の目標は、怪我や手術によって著しく低下したパワーを回復させること。以前よりもパワーアップしようとは考えない。落車や衝撃を避けるため、全ての練習を室内ローラーで行うことにしました。

トレーニング初期の3日間の記録

  • 1日目: 常酸素、L1~L2、40分。130wでも心拍数は150まで上がり、非常に辛い。乳酸値は1.5ミリモル。
  • 2日目: 低酸素(高度2,500m相当)、L1~L2、20分×2セット。前日同様に辛い。SpO2(血中酸素飽和度)は92%まで低下。
  • 3日目: 130wでの心拍数が130程度まで下がり、辛さを感じなくなる。SpO2は95%までしか低下せず。急激な回復に驚き!

低酸素・低強度のトレーニングから開始し、徐々に体を慣らしていきました。
初めて低酸素トレーニングを行う方も同じように、体を慣らす期間が必要です。
私は以前より使用しているので、順応が異常に早いようです。

4日目以降は、Garminウォッチで毎朝の心拍数、HRV(心拍変動)、体調をチェックし、疲労度を見ながらトレーニング量を増減させました。

回復は順調に進んでいるようでしたが、手首が完全に回復していないため、ハンドルを強く握ったり、荷重をかけたりすることができません。ハンドルには軽く手を添える程度で、ほぼ荷重をかけずにトレーニングを行いました。

トレーニング再開2週間目

低酸素トレーニングはほぼ毎回行い、低強度中心。L2からL3手前を20分×3セットに増やしました。SpO2が90%になるように酸素濃度を調整し、トレーニング効果を高めます。

週後半からは、20分を40分に変更し、低酸素暴露時間を長めに取るようにしました。合計80分程度のトレーニングです。

トレーニング再開3週間目(レースまで約3週間)

手首の状態が良くなってきたので、少しずつ荷重をかけられるようになってきました。そこで、高強度のトレーニングを取り入れることに。

低酸素下で、30秒オン/15秒オフ、Vo2max強度で10回×2セットのHIIT(高強度インターバルトレーニング)を実施。思ったよりも高強度に順応できたため、回数を13回×3セットまで増やしました。

他に、1分、3分、8分の高強度トレーニングも行い、途中でランニングのテンポ走を入れて全身に刺激を入れます。

また、仲間としまなみ海道をポタリング。これが、受傷後初めての屋外走行です。その後の室内トレーニングで乳酸値を計測。L2強度で計測した乳酸値が、70wほど回復していることを確認。基礎的な部分が順調に回復していることが、データからも分かりました。

トレーニング再開4週間目(レースまで2週間)

荷重をかけられるようになってきましたが、落車は絶対に避けたいので、引き続き室内ローラーでのトレーニングを継続。スプリントを数回試してみましたが、少し痛みが出るため、断念しました。

中強度、高強度の20分走や、30秒、1分走をメインに、低酸素で追い込みましたが、体力が完全には回復していないため、量をこなすことができません。

しかし、低酸素トレーニングによって「質」は確保できていることを、乳酸値、パワー/心拍、体感で確認できました。

懸念されるのは、屋外での走行が不足していることと、練習量が足りないことによる高い強度での筋持久力の不足です。

単発の高強度なら問題ないものの、短時間に連発されるとキツイ。しかし、完全に回復していない状態で、それに対処するようなトレーニングを行っても強度も量も維持できないでしょう。無理なトレーニングをしても、調子を崩す可能性が高いと判断し、それを断念しました。

そこで、今回のレースは「絶対に落車せずに先頭集団でのゴールを目指す」という目標に決定しました。

トレーニング再開5週目(レースまで1週間)

3月3日、病院で診察を受けた結果、全体重をかけても良いという診断が出ました。治癒の早さに驚かれ、早期のプレート除去手術を勧められました。リーパスや低酸素の効果が出ているのかと思います。

トレーニングは、先週と同じく室内ローラーのみ。低酸素トレーニングをメインに、中強度、高強度中心で行います。30秒、1分、8分のインターバルや、ファットマックスゾーンでのトレーニングを織り交ぜました。

低酸素トレーニングを5週間集中的に継続した結果、酸素量を最低(設定高度7,000m)にしてもSpO2が88%以下に落ちなくなっていました。これは以前にも経験しましたが、長期間低酸素トレーニングを行うと、同じような状態になります。

※注:通常の場合は絶対にこのような酸素濃度設定でトレーニングしないでください。非常に危険です。

呼吸法によってもSpO2は大きく変化しますが、高度順化が進み、酸素を効率的に利用できるようになっているのかもしれません。

次回が最終回。

次回のレースは、4月5日に伊豆CSCで行われるチャレンジサイクルロードレース ジュニアクラスです。

低酸素トレーニングに興味のある方は、お気軽にお声掛けください!