水素発生器に使う水の選び方|水道水・ミネラルウォーター・精製水の違い
水素発生器に使う水の選び方
今回は弊社製品であるハイドロピュアに限定したものではなく、多くの水素発生器に共通の内容になります。
水素発生器に使う水は何を入れてもいいのか?
身近な水と言えば、水道水、ミネラルウォーター、浄水器の水があります。
こうした水は、電解セル、フィルターに悪影響を及ぼす可能性が高いです。
それでは、どのような水を使えばいいのか?
すべての水素発生器に同じ水が適しているわけでもありません。最優先すべきなのは使用する製品のメーカーの指定です。
この記事では、一般的な水素発生器の水素発生方法である、PEM・SPE方式を理解するための水質の基礎を解説します。
どうやって水素を作るのか?
すごく簡単に言えば、水を電解セル(電解槽)で電気分解して、水素と酸素を別々に取り出す。
これだけです。
その電解セルの方式として、SPE、PEMというものがあります。
SPEとはSolid Polymer Electrolyteの略で、固定高分子膜を使った電解方式を指します。
次にPEMとはProton Exchange Membraneの略で、プロトン交換膜を指します。
SPE/PEMはPEM膜を使用した電解方式のことです。
多くの場合、PEMやSPEと片方だけを記載されることが多いです。
水の指定は製品ごとに違う
PEM・SPE方式では、精製水といった低イオン濃度の水を指定する製品がほとんどです。水道水をそのまま使える製品もありますが、ごく一部だと思って頂いてよいかと思います。
メーカー指定外の水を使うと、故障、性能低下、寿命の著しい低下、保証対象外につながる可能性が高くなります。
水道水・ミネラルウォーター・精製水の違い
水道水・浄水器
水道水には、地域や季節によって濃度が異なるミネラル、硬度成分、残留塩素、微量の金属イオンなどが含まれます。
浄水器はろ材にもよりますが、塩素、有機化合物、細菌などの微粒子を取り除けますが、水に溶け込んだイオン、塩類は除去できません。
飲用には適していても、電解セルにとって適した水ではありません。特に、加熱、電気分解によって成分が濃縮されると、電極や流路に付着物が生じます。水道水を使用できる設計の製品でも交換時期やフィルター管理は必要だと思われます。
ミネラルウォーター
ミネラルウォーターは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを多く含むことがあります。硬水だけでなく、軟水でも電解セルに不要な成分が含まれています。
蒸留水
蒸留水は、水を蒸発・凝縮させることで、多くの無機塩類を減らした水です。重要な部分は減っているだけで、残っている可能性があります。
精製水
精製水という名称は、販売元や用途によって意味や品質管理の範囲が異なる場合があります。イオン交換、逆浸透膜、蒸留、ろ過、過熱など、異なる方法で作られることがあります。
重要なのは名称だけでなく「用途」です。
同じ精製水でも工業用、医療用と大きく分かれます。工業用でよく目にするものはバッテリー補充液、ラジエター補充液など。これは不向きであり、使用は避けたい製品です。
精製水(バッテリー補充液)と記載されていたりします。
水素発生器で推奨される精製水は医療用精製水です。間違い易い製品として、コンタクトレンズ洗浄用であったり、保存用精製水です。これは防腐剤や緩衝剤などが添加されておりますので注意してください。
弊社で推奨している製品は以下の2種類
第3類医薬品日本薬局方 精製水
サンエイ化学呼吸器用精製水
お近くのドラッグストアなら前者の日本薬局方 精製水が入手が簡単。
サンエイ化学の製品はECサイトで安価に購入できます。
専用品
一部の水素発生器では専用の水を使用してくださいというものもあります。
この場合、水の成分など詳細は分かりませんので、メーカー、販売元の指示された水をお使いください。
TDSとは何か?
TDSは、Total Dissolved Solidsの略で、水に溶けている成分の総量を示す目安です。一般には導電率から換算して表示されることが多く、単位はppmなどが使われます。
水道水の平均的な値は100前後です。医療用の精製水は0~2で設定されています。
注意する点としては、TDSメーターで水の内容全てが分かるわけではないことです。TDSメーターは水の電気伝導率を計測しています。水に溶けたイオン成分は電気を通すので数値が上がります。逆に水に溶けない物質(油分やイオン化しない物質)が入っていても数値はあがりません。通常使用においては、そのようなものが混入することは無いと思われますので、TDSが低ければ水質は良好と判断して差し支えはないでしょう。
後述するDI樹脂フィルター同様に全ての機器にTDSメーターが搭載されているわけではありません。使用している水のTDSを計測したい場合は、アマゾンなどでTDSメーターを検索してください。1,000~3,000円程度で販売されています。
- TDSが低いことは、溶解イオンが少ない目安になる
- TDSは0~2以内が推奨される
TDSは便利な管理指標です。水質全体を表す万能な検査ではありません。製品にTDSセンサーが搭載されている場合はメーカー推奨値と表示値を比較してご利用ください。
DI樹脂フィルターの役割
水道水など通常の水はカルシウム、マグネシウムなどのイオン成分が含まれています。
男性なら車を水道水で洗い、そのまま乾燥させると窓やボディに白い斑点が残るのを覚えていませんか? 女性なら水回り、キッチン、電気ポット底面で同じく白い斑点があることをご存知と思います。
これは水の中にあるカルシウム、マグネシウムが結晶化して固まったものです。
また、こうした成分は水中でイオンの状態になっています。
DIは、Deionizationの略、脱イオンのことです。DI樹脂は、この水に含まれる陽イオンや陰イオンを取り除き、電解セルに入る水のイオン量を減らす目的で使われます。
これは全ての製品が装備しているものではありません。イオン量の少ない精製水を使用すれば問題ありません。
DI樹脂フィルターには、次のような役割があります。
- 電解セルへ入るイオン量を減らすことで電極や流路への無機物の付着を抑える
- 電解セルの寿命を長く保つ
ただし、DI樹脂フィルターは永続的に働くものではありません。樹脂が飽和すると、出口側のTDSや導電率が上がり始めます。交換時期は、使用回数、使用水量、原水の水質、メーカーの指定によって変わるため、取扱説明書の基準に従ってください。
水質が電解セルの汚れや劣化にどう関係するか
水に含まれるミネラル、金属イオンが電解セル内で濃縮されると、電極、流路、セパレーターなどに付着物が生じる可能性があります。付着物が増えると、水の流れやガスの分離に影響したり、発生量の低下や故障につながります。
PEM・SPE方式では、膜や触媒層が電解セルの重要な部分です。水質管理が不十分な場合、膜の状態、触媒層、流路部品などへ負担が掛かります。具体的な劣化の仕方は、セルの構造、運転条件、使用水、フィルターの種類によって異なります。
【電解セル(槽)の内部メンテナンスは可能か?】
調子がおかしいと感じてもセルを分解したり、自己判断で酸や洗剤を使って洗浄したりするのは避けてください。基本的に電解セルに不純物が形成されると除去する方法はありませんので、電解セルの交換になります。
仮にメンテナンスを行うとすると、分解して電極を清掃するのは状況により可能ですが、PEM膜は再生不可能なので交換となります。そうなると工賃だけで電解セル交換より高価になりますので本末転倒です。
精製水を使う意味
多くの製品が精製水の使用を前提にしている理由があります。
ほとんどの水素発生器はPEM電解セルにて水素を発生させています。
水を分解する際に、一番いいのは水のみH₂Oです。
水素2に酸素1しかなければ、他のものは生成されません。
H₂O → 電解セル内で電気分解 → 水素と酸素が分解されて出てくる
分解の際に他の物質があれば邪魔になるのは想像し易いと思います。
また、電解セルのメーカーも精製水を前提に設計しているので、それ以外が入ると故障、寿命の短縮、性能の著しい低下、想定外の物質がガスに交じる可能性も出てきます。
高い純度の精製水を使用することで、水素発生器の心臓部である電解セルの寿命を長く保つことができます。
まとめ
水素発生器に使う水は、メーカーが指定する水を使用することが大前提です。
- 使用可能な水は製品ごとに異なる
- 多くの場合、医療用の精製水を使用した方がよい
- 医療用精製水はTDSが0~2で純度が高いのでおすすめ
- DI樹脂フィルターは消耗品であり、交換時期を守りましょう
- 電解セルを長持ちさせたいなら純度の高い精製水を使いましょう
水質管理は、水素の発生量だけでなく、電解セルを安定して使い続けるための重要ポイントです。使用前に必ず、実際の製品の取扱説明書を確認してください。
※本記事は水素発生器の水質管理に関する一般的な情報です。製品ごとに使用できる水やメンテナンス方法は異なります。使用中の製品については、取扱説明書およびメーカーの案内を優先してください。